
ハイブリッド車の中で活躍する不織布
ハイブリッドカーに搭載されているニッケル水素電池には、当社のニッケル水素電池用セパレータが採用されています。このセパレータは、電池の正極と負極を隔てることで短絡を防ぎつつ、イオンの移動を可能にするという、電池の性能を支える重要な役割を担っています。
当社の製品が初めて車載用としてハイブリッドカーに採用されたのは1997年。以来、ニッケル水素電池用セパレータにおいて非常に高いシェアを誇るまでに成長しました。
その背景には、当社が培ってきた多様な技術力があります。

より均一に、より薄く、を実現する技術
ニッケル水素電池は、長い歴史の中で容量を向上させてきました。その過程で、電池サイズを変えずに容量を増やすために求められたのが、セパレータをより均一で、より薄く製造する技術です。
このニーズに応えているのが、当社独自の「極薄湿式不織布製法」です。この製法では10g/㎡以下(砂糖の大さじ約3分の2に相当)という非常に軽量な不織布の生産が可能で、その薄さは不織布の向こう側が透けて見えるほどです。
この技術は、当社の高い技術力を象徴するものであり、電池の高性能化に大きく貢献しています。

電池性能を支える加工技術
電池セパレータには、電池内部の「電解液」を長期間保持する性能が求められます。これは、セパレータがどれほど薄くなっても欠かすことのできない、極めて重要な機能です。
この性能の実現に貢献しているのが、当社の親水加工技術です。当社では、硫酸を用いたスルホン化処理、フッ素系混合ガスによる処理、プラズマ連続処理による親水化技術など、複数の加工技術を確立しており、電池の長寿命化や自己放電の抑制に寄与しています。これらの技術の幅広さは、当社の加工技術の奥深さを物語っています。
また、原料開発技術においても、原料メーカーと連携しながら多様な繊維の開発を進めています。電池のショート特性の改善や電解液保持性の向上(=電池寿命の延長)を実現といった電池の課題に対し、原料の開発から取り組んでいます。
信頼の基盤、評価・解析技術
さらに当社の強みとして挙げられるのが、評価・解析技術です。最終製品である電池そのものを製造できる体制に加え、セパレータの評価・解析を自社で行える設備を有しており、信頼性の高いデータをお客様に提供することが可能となっています。
こうした技術サービスは、単なる材料の提供にとどまらず、お客様の製品開発を支えるパートナーとしての信頼構築に大きく貢献しています。

当社は、このように、長い歴史の中、唯一無二の製造技術、加工技術、原料技術そして評価・分析技術の技術革新を積み重ねてきました。私たちは、これまで蓄積してきたこれらの技術や知見を生かし、未来に求められる素材開発を進め、次世代のモビリティやエネルギー分野に貢献する素材の創出をこれからも目指していきます。









